覚醒へ至る4つのステップについて

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StarPeople vol.46

StarPeople vol.46

覚醒へ至る4つのステップ
深い覚醒状態を知ることが、 人生に対する自信につながる

覚醒体験というと、なかなか到達し得ないものというイメージがあるが、哲学者・思想家のティモシー・フリーク氏 は、「多くの人が想像するよりもはるかに簡単なこと」と語る。今回は、簡単でなじみやすい2つのステップから始まる、覚醒状態に至る4つの段階について伺った。



全宇宙が愛で脈動する、深遠な一体感(ワンネス) を感じて

一一 ティモシーさんが12 歳で目覚めた時は、どのような体験をされたのでしょうか。

ティモシー  少年の頃、人生というものがとても不思議に思えました。大人たちは、人生とは何なのか、実は誰もわかっていないにもかかわらず、理解しているふりをしているのが、私には奇妙に見えたのです。
  ある日のこと、故郷を見下ろす丘の上に座って人生の神秘について考え込んでいたら、自発的覚醒を体験しました。これは私がいままでに経験したなかで最も美しい出来事で、全宇宙が愛で脈動しているような感覚でした。すべてのもの、すべての人との間に深遠な一体感(ワンネス)を感じ、それに伴う安堵感が湧き上がってきたのです。まるで自分の家に戻ってきたかのようでした。自分のすべてがいま、ここに存在していることを感じなが ら、感覚は生き生きとしていたのです。
  現在、私はこの感覚を「神秘体験」 (mystery experience) 、または「深い覚醒状態」に入る、と呼んでいます。以来、あの時体験した〝大いなる愛〞と再びつながり、さらに経験を深めることを中心に生きてきました。そして、この深い覚醒状態をみなさんと分かち合えることを光栄に思います。



一一 ティモシーさんは、神秘体験に至る4つのステップとして、 Wondering 、 Entering 、 Presencing 、 Dissolving を挙げていますね。それぞれについて説明していただけますか。

ティモシー  私が人々を深い覚醒状態に導くひとつの方法として、 いまこの瞬間に注目するという過程があります。これはまず、ほとんどの人にとって簡単で馴染みやすい2つのステップからはじまり、 そこからとても深い領域に入っていきます。
  最初のステップは、 Wondering (不思議に思うこと)です。これは、いかに人生が神秘に満ちているかを意識するようになることを指します。〝自分は実は何も知らなかった〞という深遠な気づき状態に入り、私たちの周囲にあるもの、存在するものの、えも言われぬ美しさに感謝の念が沸き起こります。
  2つ目のステップは、 Entering (入っていくこと)。自分の直接的・感覚的体験に注意を向け、深く見入り、聞き入り、真に感じ入る――これによって、私たちの注意を完全にいまこの瞬間に置くことができます。
 3つ目のステップは、Presencing (在ること)。自分が気づきの存在であると意識できるようになり、いまという瞬間に経験しているすべてを目撃します。つまり、意識している状態をさらに意識することで、深い自己理解へとつながっていくのです。
  最終ステップは、 Dissolving (溶解すること)。意識を神秘的な気づきの存在へと融合させます。 個々の存在が最も深いレベルで、すべての存在と一体であるという深い実感を体験するのです。
  実際、このプロセスは意識の中でいっぺんに起こることもあります。しかし、深い覚醒状態に入っていくことが不慣れな人の場合、 始めにこのような段階に分けることで探求がしやすくなるのです。



一体感(ワンネス)と大いなる愛に集合的に目覚める

一一いま、イギリス人やアメリカ人、また多くの日本人が目覚め始めています。この傾向についてどう思われますか? これは時代の流れでしょうか。それとも、目覚めた人たちの努力のおかげなのでしょうか。

ティモシー  人々はとても長い時を経て、覚醒について探求を続けてきました。これらの開拓者たちが深い覚醒状態に通じる細道を切り分けてくれたおかげで、後に続く者たちの道のりが容易になったかのようです。そして現在、この道を辿る私たちは、いままで限られたエリート神秘探求者のためだけにあった秘密の細道を、誰もがアクセスできる巨大な高速道路へと変えようとしています。すべての人が、一体感(ワンネス) と大いなる愛に集合的に目覚めていける目標を達成させる過程にあります。
  この次に起こり得ることは何でしょう。いま、私たちの集合的進化の物語は、とてもわくわくする局面を迎えています。すべてがどのようにでもなり得るのです。私たちは、あまりにも深く分離の幻想に迷い込んでしまっていて、夢遊病者のごとく破滅へと突き進むのでしょうか? それともワンネスに目覚め、私たちが抱える問題に対して思いやりのある解決法を見い出すのでしょうか? 現時点ではまだ何とも言えません。ただ、幸いなことに、あなたも私も、今後の流れを左右させる役割を担っています。



一一 目覚めと、感情の解放とのかかわりについてはどうお考えですか? 目覚めても、感情の解放がなされていなければ、目覚めは安定しないとも言われていますが。

ティモシー  目覚めるとは、ほとんどの人が想像するよりもはるかに簡単なことです。しかし、自分をこの深い覚醒状態の中に安定させることは、日々試される真のチャレンジなのです。辛い感情は、心を開くどころか、いとも簡単に心を閉ざしてしまいます。私たちは不愉快な感情を経験すると、自然にその痛みを麻痺させようとする傾向があります。感情を麻痺させることにより、一時的に気分が回復する効果があったとしても、 精一杯生きているという実感が損なわれるので、後々大きなつけが回ってきます。そして、次第にこの麻痺している感覚が〝普通〞になってしまうかもしれません。
  これに対する私のアプローチは、 自分の傷つきやすい人間性をありのまま受け入れることです。自分の中で浮上するさまざまな感情を抑制することなく感じるようにします。しかし私は、自分の感情に溺れるようなことはしたくありません。むしろ、自分の人間らしい 感情を目撃する気づきの存在であることを意識するようにしています。そうすると、たとえ表面的に私の感情が荒れていても、深い部分で静けさを得ることができるのです。また、心が痛んでいる時でさえ、深い覚醒状態を知っていることが人生に対する自信につながり、〝ティム〞で在るこの冒険に没頭することができるのです。

雑誌『StarPeople』vol.46 (ナチュラル・スピリット社)インタビュー記事より